仕入れガイド海外ブランド向け
日本で売る価格は、本国サイトの表示を円にした値ではありません。輸入と国内流通が乗り、競合の棚があり、消費税の見え方もあります。ブランドの世界観だけで一段高く置くと、卸が採用できません。安く置きすぎると、正規の販売店が在庫を嫌います。
この記事では、為替、輸入コスト、国内流通、競合比較、ポジショニング、ECと店舗の差、簡単なケースの順で、販売価格の仮置きの仕方を整理します。税額や関税率は断定しません。
海外価格をそのまま円換算してはいけない理由
本国の小売には、その国の家賃、人件費、広告、税率が織り込まれています。日本の店頭には、別のコスト構造があります。同じドル表示でも、日本着までの費用が乗ったあとの『売れる価格』は別物です。
さらに、日本の消費者は同カテゴリーの国産品・既存輸入品と比較して判断します。本国でプレミアムでも、日本では中価格帯の競合が厚い、というずれはよく起きます。
為替
発注日から入金日、再発注までの期間でレートは動きます。卸を外貨、店頭を円で固定すると、どこかが為替を吸収します。吸収しきれないと、突然の値上げか、販売中止になります。
実務では、見積の有効期限を短くするか、一定の変動幅を超えたら協議する、といった扱いがあります。詳細な契約条項は専門家と詰めてください。
輸入コスト
国際輸送、保険、通関、関税、検査、ラベル貼りが乗ります。食品や化粧品は、表示の作り直しで単価が上がることがあります。サンプル1個の航空便コストを、量産の海上便と同じ感覚で小売に転嫁すると、価格が現実離れします。
国内流通コスト
倉庫、店舗配送、欠品補充、返品、カード手数料やモール手数料です。実店舗は家賃と人件費、ECは撮影と広告とカスタマー対応が乗ります。『メーカー直で安く出せる』は、誰かの機能を省略しているだけのことがあります。
競合価格
同じ棚に並ぶ国産、既存の輸入ブランド、類似の機能・容量で比較します。容量換算(10mlあたり、100gあたり)を日本のバイヤーはよく使います。ギフト需要が強いカテゴリーでは、端数と箱の見え方も価格の一部です。
- 同容量・同機能の店頭価格
- 定期購入や詰め替えがあるか
- セット販売やギフト箱の慣行
ブランドポジショニング
価格は、誰に、どの売場で、何と比較して買ってほしいかの宣言です。高級路線なら、店頭の説明資料と、安売りチャネルを制限する話がセットになります。マス向けなら、卸のロットと物流が先です。
ポジションと卸条件が矛盾すると、販売パートナーは動きません。例として、高級をうたいながらモール最安値を公式で出すと、専門店が離れます。
ECと小売店での価格差
日本では、公式ECと店頭の差が大きいと、店舗が仕入れを止めます。逆に店頭だけ高いと、消費者が公式を探し、店舗在庫が残ります。チャネル別の希望小売を置くなら、卸もチャネル別に分け、適用条件を文書にします。
ケース例
以下は構造を示す仮の例であり、実際の関税や手数料を表しません。
本国小売を円換算しただけ
本国29ドルのスキンケアを単純換算すると、日本の同容量と比べて高く見え、専門店が『説明しにくい』と判断。卸を下げずに希望小売だけ下げることはできず、採用見送り。
競合棚から仮置きして逆算
日本の同棚が4,000円前後。そこから小売・卸・輸入の余地を引き、メーカーFOBが成立するか確認。成立しないSKUは日本では出さない、主力だけ出す、容量を変える、といった判断に進む。
EC最安と店舗の衝突
公式モールだけキャンペーン価格にし、実店舗の定価が残る。店舗が次回発注を止め、正規在庫より並行の方が安い状態になる。
注意点
再販売価格の拘束、表示義務、景品表示は商品と売り方で異なります。この記事は価格設計の視点であり、適法性の断定ではありません。
よくある質問
販売価格でよく聞かれることです。
メーカー希望小売は必須か
卸が社内稟議するときの参考になります。強制力の扱いと独禁法上の論点は専門家へ確認してください。
日本だけ本国より安くしてよいか
可能でも、他国からの並行や、本国顧客への説明が必要になります。チャネルと地域の販売条件を先に整理してください。
消費税込みで考えるべきか
店頭では税込表示が一般的です。卸の見積が税抜か税込かを必ず揃えてください。
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